【11/16更新】2021年読書記録・おすすめ本の紹介

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2021年の読書感想・おすすめ本

アラフォー主婦が2021年に読んだ本をのせていきます。

目次

『八月の銀の雪』伊予原新

読みやすさ:★★★★☆ 満足度:★★★★★

あらすじ

耳を澄ませていよう。地球の奥底で、大切な何かが静かに降り積もる音に――。

科学の揺るぎない真実が、傷ついた心に希望の灯りをともす全5篇。

『夜明けのすべて』瀬尾まいこ

読みやすさ:★★★★☆ 満足度:★★★★☆

キャプション

PMSに苦しむ美紗、パニック障害に苦しむ同僚の山添が主人公。

それぞれの視点から、交互に語られる物語。

『つむじダブル』小路幸也×宮下奈都

読みやすさ:★★★★☆ 満足度:★★★☆☆

あらすじ

プロのミュージシャンを目指す兄の由一と、柔道が大好きな妹のまどか。
高校生、小学生と年は離れているけど仲の良い二人。
兄の視点を小路幸也さんが、妹の視点を宮下奈都さんが描いた物語。

『出会いなおし』森絵都

読みやすさ:★★★★☆ 満足度:★★★☆☆

あらすじ

イラストレーターの時子は、かつて共に仕事をした編集者のナリキヨさんから、仕事の依頼を再び受ける。
年を重ねて時子が得た感慨とは(「出会いなおし」)。
人々の出会いと別れ、そして再会を描いた6篇の短編集。

『朝ごはん』川上健一

読みやすさ:★★★★☆ 満足度:★★★★☆

あらすじ

自分を好きになることは、人生を好きになること。30代女性が始める、山の小さな朝ごはん屋さん物語。

『常設展示室』原田マハ

読みやすさ:★★★★★ 満足度:★★★★☆

あらすじ

不意の病で人生の選択を迫られた娘。
忘れられないあの人の記憶を胸に秘めてきた彼女。
それぞれに悩みながら美術館を訪れる人々の未来を、一枚の絵が切り開いてくれた…。

『虹猫喫茶店』坂井希久子

読みやすさ:★★★★☆ 満足度:★★★★☆

あらすじ・感想

“猫の世話をするだけの簡単なお仕事”こんな求人募集を見つけて僕は一軒の古ぼけた喫茶店を訪ねた。『喫茶 虹猫』で待っていたのは、“猫バカ”で引きこもりの女主人と里親募集中の迷い猫たち。
主人公や周りの人の成長が大きなテーマとしてあって、
個性的な登場人物たちにくすっと笑う場面もあったり切なかったり。
読みやすかったけれど、猫の殺処分の話も出てくる重いテーマを持った連作短編集でもありました。

『アンと愛情』坂木司

読みやすさ:★★★★★ 満足度:★★★★☆

あらすじ・感想

東京デパートの地下、食品売り場の和菓子屋でアルバイトをする、梅本杏子・通称アンちゃんの物語。
三作目。

アンちゃんって、悩みもあるし失敗もするんだけど、そこからいろんな事を学んでいく姿勢がとても好き。
周りの人たちも個性的で、厳しい時もあるけど優しくて。

今回も出てくる和菓子もご飯も美味しそうだった!

『星のように離れて雨のように散った』島本理生

読みやすさ:★★★★☆ 満足度:★★★★☆

あらすじ・感想

行方不明の父、未完の『銀河鉄道の夜』、書きかけの小説。
三つの未完の物語の中に「私」は何を見いだすのか?
人生の岐路に立つ女子大学院生を通して描く、魂の彷徨の物語。

はじめましての島本理生さん。

主人公の過去に触れながら、
今だから振り返り理解できるようになった、主人公の気持ちの変化に救われた。

『7.5グラムの奇跡』砥上裕將

読みやすさ:★★★☆☆ 満足度:★★★★☆

あらすじ・感想

街の眼科医院で働くことになった、新人視能訓練士の一年間の物語。

前作『線は、僕を描く』の時も感じたのだけど、透明感のある文章が心地よかった。

今回は医療の物語で、中にはもう良くならない病気の患者さんも登場する。
だけど、決して絶望感だけじゃない。

光あふれる物語だった。

『注文の多い料理店』宮沢賢治

読みやすさ:★★★★★ 満足度:★★★★☆

あらすじ

数多くある宮澤賢治の童話から、

「注文の多い料理店」
「よだかの星」
「どんぐりと山猫」
「貝の火」
「セロ弾きのゴーシュ」


が収録されています。

『シャルロットの憂鬱』近藤史恵

読みやすさ:★★★★☆ 満足度:★★★★☆

あらすじ

シャルロットは雌のジャーマンシェパード。警察犬を早く引退し、四歳で池上家にやってきた。
シャルロットと池上夫妻の日常と事件をやわらかく描く、傑作コージーミステリー。

『やっぱり食べに行こう』原田マハ

文庫本も発売されました!↓

読みやすさ:★★★★★ 満足度:★★★★☆

あらすじ

世界中の「おいしい!」を探しに。
パリ、NY、ロンドン、スペイン、ロシア、京都、蓼科……
いざ、アートと小説と美味探訪の旅へ!

『母親からの小包はなぜこんなにダサいのか』原田ひ香

読みやすさ:★★★★☆ 満足度:★★★★☆

あらすじ

昭和、平成、令和――時代は変わっても、実家から送られてくる小包の中身は変わらない!?
実家から届く様々な《想い》を、是非、開封してください。

『すべての神様の十月(二)』小路幸也

読みやすさ:★★★★★ 満足度:★★★★☆

あらすじ

死神、九十九神、福の神・・・。
現代社会に溶け込むようにして存在している八百万の神々と、
人間たちとのちょっと不思議なふれあいを描いた、切なくも心温まる連作短編シリーズ第二弾。

『すべての神様の十月』 小路幸也

読みやすさ:★★★★★ 満足度:★★★★☆

あらすじ

帆奈がバーで知り合ったイケメンは、死神だった!?
死神は、これまでに幸せを感じたことがないらしい。
なぜなら、幸せを感じた瞬間・・・(「幸せな死神」)。
貧乏神に取りつかれていた雅人。
そうとは知らず、彼は冴えない自分の人生を”小吉人生”と呼び楽しんでいたのだが・・・(「貧乏神の災難」)
様々な神様が現れる、短編集。

『ご本、出しときますね?』 BSジャパン/若林正恭 編

読みやすさ:★★★★★ 満足度:★★★★☆

内容

小説家って面白い! 無類の本好き芸人・オードリー若林正恭と、20人の作家たちが“自分のルール”を語りつくす。 大人気番組、ついに書籍化! 
西加奈子/朝井リョウ/長嶋有/加藤千恵/村田沙耶香/
平野啓一郎/山崎ナオコーラ/佐藤友哉/島本理生/藤沢周/
羽田圭介/海猫沢めろん/白岩玄/中村航/中村文則/
窪美澄/柴崎友香/角田光代/尾崎世界観/光浦靖子

『三十の反撃』ソン・ウォンピョン 矢島暁子訳

読みやすさ:★★★☆☆ 満足度:★★★☆☆

あらすじ

平凡を絵にかいたような、三十歳の非正規社員、キム・ジヘ。
同じ歳の同僚、ギュオクと関わることで、少し自分自身を見直していく。

2020年本屋大賞、翻訳部門1位の『アーモンド』を書かれたソン・ウォンピョンさんの作品。

非正規社員として、焦りを感じながらも変えることのできない自分の日常。

でも、ギュオクと接するうちに、社会に対する小さな反撃をしていくようになる。

それまで話したことのなかった人たちとのふれあい。
高校生のころにトラブルとなった知人との再会、反撃。

“誰でも心の奥底に、いろんな姿をした人が何層にも重なってたくさん入ってるってこと”p266

これまでの何か諦めたようなジヘから、周りの人との関わりの中で少しずつ変わっていくことに、淡い希望の光を感じた。

非正規社員という立場の将来への悲観、自分がやりたいことを実現させる難しさ、そして勇気を持つこと。
大人になっていくということ。
国は違っても、悩むことは変わらない。

『たそがれ大食堂』坂井希久子

読みやすさ:★★★★☆ 満足度:★★★★☆

あらすじ

伝統あるマルヨシ百貨店に勤める美由起。
大食堂のマネージャーに就任したものの、時代の変化と共に廃れ、存続の危機に直面していた。
しかも若社長に引き抜かれてやってきた料理人・智子は、大食堂の味を片っ端から変えようとして…

出てくる人たちが個性的で楽しい。
シンママでがんばる主人公、妥協はしない料理長、元ヤンな副料理長、
仕事中と休日の差が激しい受付嬢などなど。

売り上げの落ちてきている大食堂をどう立て直していくか。
登場人物たちにたくさんのエールを送りながら楽しみました。

『線は、僕を描く』砥上裕將

読みやすさ:★★★★☆ 満足度:★★★★★

あらすじ

二年前、突然の事故で両親を亡くした大学生、青山霜介。
アルバイト先のパネル設置を行った会場で出会ったのは、水墨画の巨匠、篠田湖山。
篠田湖山に気に入られた霜介は、水墨画を学んでいくことになる。

水墨を描くということは、独りであるということとは無縁の場所にいるということなんだ。

水墨を描くということは、自然との繋がりを見つめ、学び、
その中に分かちがたく結びついている自分を感じていくことだ

『線は、僕を描く』p67

深い哀しみの中にあるとき、
自分がなんなのか、どんなことを感じているのか分からなくなることがある。
分からないのではなく、感じないようにしているのかもしれない。

霜介も両親を亡くし、哀しみ流されるまま生きてきた中で、
水墨画をとおして少しずつ自分の気持ちを見つめられるようになってきた気がした。

真っ黒で何も分からないように見える墨の海に濃淡があるように、人生にも濃淡がある。

自分の想いを水墨画に託して、霜介はこれからも絵師として成長していくのだろうな。

その純粋な生き方が現れた水墨画を描く良きライバル、千瑛と共に。

若々しい、にぎやかでコミカルな場面もすごく楽しく読ませてもらった。

『ギフト』原田マハ

読みやすさ:★★★★★ 満足度:★★★☆☆

あらすじ

もやもやとした気持ちを抱いて旅に出る「この風がやんだら」。
大学時代の親友の結婚式へ向かう特別な近道「コスモス畑を横切って」。
海外留学前夜、桜並木の下を父親と歩く「そのひとひらを」などなど、20の短くて小さな物語。

どのお話も、6ページくらいのショートショートで、柔らかな水彩画が添えられています。
一話5分くらいで読めるので、ちょっとした気分転換に良かったです。
短いからか、長編小説のようにのめり込んで読むというのはありませんでしたが、
どのお話も普段の何気ないことに隠された小さなギフトのようでした。

『水を縫う』寺地はるな

読みやすさ:★★★★☆ 満足度:★★★☆☆

あらすじ

「男なのに」刺繍が好きな弟の清澄。
「女なのに」かわいいものが苦手な姉の水青。
世の中の”普通”を踏み越えていく、6人の家族の物語。

自分に合った服は、着ている人間の背筋を伸ばす。
服はただ身体を覆うための布ではない。
世界と互角に立ち向かうための力だ。

『水を縫う』p185

『倒産続きの彼女』新川帆立

あらすじ

『元彼の遺言状』続編。
山田川村・津々井法律事務所に勤める美馬玉子は、
事務所の苦手な先輩、麗子とコンビを組み「会社を倒産に導く女」と内部通報された
近藤まりあの身辺調査を行なうことになった。
ところが調査を進める中、社内のリストラ勧告で使われてきた「首切り部屋」で、
本当に死体を発見することになった彼女たちは、予想外の事件に巻き込まれて……。

誰かに同情されるのは嫌いだ。
だけど、自分の大変さについて、
誰かに理解され心配されたいという気持ちはある。
それが厄介なのだ。

『倒産続きの彼女』p58

主人公・玉子は、これまでお金に苦労してきたことなどから、
剣持麗子のことを苦手にしています。
しかし「転職するたびに企業が倒産する」という不思議な案件を調査していくうちに、
いろんな事を経験し、考え、成長していきます。

倒産がなぜ続いていくのかを追っていくと、
現代社会の問題点も見えてきていろいろ考えることも多かったです。
今回、犯人は私は途中で「この人かも!」と分かりました。
謎が解き明かされるって爽快ですね!

『元彼の遺言状』新川帆立

読みやすさ:★★★★☆ 満足度:★★★★★

あらすじ

「僕の全財産は、僕を殺した犯人に譲る」。
元彼の森川栄治が残した奇妙な遺言状に導かれ、
弁護士の剣持麗子は「犯人選考会」に代理人として参加することになった。
数百億円ともいわれる遺産の分け前を勝ち取るべく、
麗子は自らの依頼人を犯人に仕立て上げようと奔走する。
ところが、件の遺書が保管されていた金庫が盗まれ、
さらには栄治の顧問弁護士が何者かによって殺害され……。
第19回「このミステリーがすごい!」大賞受賞作。

私自身の金勘定にうるさい性格のせいで、そうではない、
道徳的に正しい人たちに対して、私はどこか引け目を感じていた。
善良な人は私のことを見下しているのではないだろうかと
不安であった。
しかし、法律は、そんな私も、善良で品行方正な人たちと同じ人間で
あって、同じだけの権利があるんだと教えてくれた。
それが私にとっては救いだったのだ。

『元彼の遺言状』p264

麗子は二十代後半。
頭がよく、大手法律事務所で働いていて、お金に対する執着がすごい。

最初は依頼者を犯人にするべく選考会に参加しているんだけど、
そのうちに真犯人探しへと移っていくミステリーで、
とてもテンポよくてページをめくる手が止まらず、楽しめました。

犯人探しももちろん面白かったのだけど、麗子自身もとても魅力的。

自分はなぜ弁護士を目指したのか…高額報酬のためなのか…
そんな、誰しもが一度は立ち止まって考えるようなことを、麗子も見つめていきます。

偉そうに見えたりワガママであるように見えたりする人たちも、
不安や怖れを隠すために固い鎧をまとっているのかもしれない。

完全無欠ではない、人間的な魅力にあふれた麗子に共感しながら、
あっという間に読み終わりました。

犯人、私は最後まで分からなかったなあ…
ミステリー読み慣れている方や勘のいい方は分かるのかもしれないです!

『スーツケースの半分は』近藤史恵

読みやすさ:★★★★☆ 満足度:★★★★☆

あらすじ

三十歳目前の真美は、フリーマーケットで一目惚れした
青いスーツケースを持って、憧れのニューヨークへ一人旅に出る。
その後、そのスーツケースは真美の友人たちに手渡されて
世界中を巡ることに…
29歳の女性4人、そしてスーツケースの元の持ち主に
関係する人たちがそれぞれ主人公となる9つの短編集。

丁寧に扱ってもらうことって、大事ですよね

『スーツケースの半分は』p73

旅をとおして、それぞれが少しずつ前に進んでいくのが嬉しかった。

生きていれば幸せなことばかりではなくて、苦しくて辛いこともあるけれど。

思い通りになることばかりじゃないけど、
旅に出ていろいろ経験して考えてリフレッシュして、また生きていく。
それでいいじゃないか。

読み終わると、自分もまたがんばろうと思った。

それぞれの人生に、旅に、幸多かれ!

『予知夢』東野圭吾

読みやすさ:★★★★☆ 満足度:★★★★☆

あらすじ

深夜、16歳の少女の部屋に男が侵入し、気がついた母親が猟銃を発砲した。
とりおさえられた男は、17年前に少女と結ばれる夢を見たと主張する。
その証拠は、男が小学四年生の時に書いた作文。果たして偶然か、妄想か…。
常識ではありえない事件を、天才物理学者・湯川が解明する、
シリーズ累計1320万部突破の人気連作ミステリー第二弾。

『きまぐれな夜食カフェ マカン・マランみたび』古内一絵

あらすじ

元超エリートのイケメン、今はドラァグ・クイーンのシャールが
夜だけひらくカフェ「マカン・マラン」。
今回のお客様は、匿名のクレームを繰り返すアラサーOL、
美味しさがわらかなくなってしまった若手料理人など。
彼らにシャールが用意した《きまぐれ》料理とは――?

どれだけ意に沿わないことをしなければならなかったとしても、
自分の本心の隠し場所さえちゃんと分かっていれば、
人は案外、自分の道を歩いていけるものよ。

『きまぐれな夜食カフェ マカン・マランみたび』P197

マカン・マラン三作目。

気持ちが迷子になって、
妬んだり苦しくなったりしてすることって誰にでもあると思います。


この苦しさはどこから来るのか?


この本を読んでいると、
そんな苦しさを抱えた人たちが出てきて
自分の気持ちにも気づけるから不思議です。

(もちろん、妬んでるからってクレームつけていいわけじゃないですよ…)


『女王様の夜食カフェ マカン・マランふたたび』古内一絵

あらすじ

病に倒れていたドラァッグクイーンのシャールが復活し、

いつものように常連がくつろげるお店に戻った「マカン・マラン」。
そこには、やはり様々な悩みを抱えた人たちが集ってきて?
〈擬態〉だけ得意になる、ランチ鬱の派遣社員へ「蒸しケーキのトライフル」。
夢を追うことを諦めた二十代の漫画家アシスタントに「梅雨の晴れ間の竜田揚げ」。
子供の発育に悩み、頑張り続ける専業主婦へ「秋の夜長のトルコライス」。
そして親子のあり方に悩む柳田とシャール、それぞれの結論とともに食す「再生のうどん」。
共感&美味しさ満載、リピート間違いなしの1冊。

「皆、寂しくて、一生懸命。それで、いいじゃない」

『女王様の夜食カフェ マカン・マランふたたび』P209

『マカン・マラン』二作目。

今回のお話には、子どもの発育に悩むお母さんが出てくる。

うちの子もなかなかに難しい子で、
今は落ち着いているからいいけど、
昔は生活そのものが回らなくて。

神みたいなお医者さんに出会ってからは、
だいぶ救われたけど、遠いんだよね…予約もなかなかとれなくて…シャールさんみたいな声かけをしてくれる人が近所にいたら、
マカン・マランみたいな場所があったら良かったなあ…。

そんな事をしみじみ感じた一冊でした。

『マカン・マラン 二十三時の夜食カフェ』古内一絵

あらすじ

元エリートサラリーマンにして、今はド派手なドラァグクイーンのシャール。
そんな彼女が夜だけ開店するお店がある。そこで提供される料理には、優しさが溶け込んでいて――。
早期退職者候補になった、仕事一筋の40代キャリア女性へは「春のキャセロール」を。
手料理を食べなくなった中学生男子には「金のお米パン」。
仕事に夢を見られない、20代のライターには「世界で一番女王なサラダ」。
そして、病を抱え、倒れてしまったシャールへ、彼女に助けられた人々が素材を持ち込み、想いを煮込めた「大晦日のアドベントスープ」。
じんわりほっくり、心があたたかくなる至極の4作品を召し上がれ!

どんなに色々なものが足りなくたって、
誰もが自分の人生の女王様よ。
あたしもそう。
もちろんあなただってそうよ。

『マカン・マラン 二十三時の夜食カフェ』P186

本と私のタイミングってあると思うのです。

この「マカン・マラン」シリーズ、最初の発行が2015年。

書店員仲間からも評判がよく、
人気のあるシリーズ。

存在は知っていたけれど、発行された当時は育児が本当に大変で、
読書そのものができない状況でした。

ここ最近、ようやっと落ち着いて読書できるようになってきて、
本屋さんで見かけて読んでみました。

余裕のなかった頃だったら
きれいごとと思ってしまったかもしれない言葉も、
今は素直に頷けます。

あたたかい言葉。
あたたかい料理。
あたたかい人たち。

このタイミングで読めてよかったなあ、と思える本になりました。

『52ヘルツのクジラたち』2021年本屋大賞受賞作

あらすじ

自分の人生を家族に搾取されてきた女性・貴瑚と、

母に虐待され「ムシ」と呼ばれていた少年。

孤独ゆえ愛を欲し、裏切られてきた彼らが出会い、新たな魂の物語が生まれる。

”わたしはまた、運命の出会いをした。
一度目は声を聴いてもらい、二度目は声を聴くのだ。
このふたつの出会いを、出会いから受けた喜びを、
今度こそ忘れてはならない。

『52ヘルツのクジラたち』P238

読むのが辛いというレビューも
多かったので少し構えてしまったのですが、
主人公が虐待されていた子どもと向き合う気持ちを強く持てていることに希望を感じました。

実際に救うのはたやすいことでは、ない。
それでも児童虐待について、作者の町田そのこさんが感じていることが、主人公をとおして伝わってきました。

虐待していた母親も、きっと声なき声をあげていたのだろうと思うので、そこが読了後に気になってしまいました。


『最高のアフタヌーンティーの作り方』

あらすじ

老舗・桜山ホテルで、憧れのアフタヌーンティーチームへ異動した涼音。
夢にまで見た職場で初めて提出した企画書は、シェフ・パティシエの達也に却下される。
悩む涼音だが、お客様、先輩、そして達也の隠れた努力を垣間見ることで、
自分なりの「最高のアフタヌーンティー」企画を練り直し・・・。

人が生きていくのは苦しいもんだ。
だからこそ、甘いもんが必要なんだ

ー『最高のアフタヌーンティーの作り方』p171ー



どんな人にも、光と影がある。
目に見えているところからは分からない気持ちや、努力がある。

いや、目に見えているものだって、
自分で作り出した色眼鏡で別のものに見えているかもしれない。



人は、厳しく苦しい記憶の方が残りやすいと聞く。

美しく甘いもので満たされた贅沢な時間は、
そんな苦しい記憶の間にキラキラと輝いてくれる。

食べすぎは良くないのは分かっているけど、
時にはそんな時間があっていい。

幸せな記憶が増えますように…。

『マカン・マラン』に出てくるあの人(だよね…)に会えたのも嬉しかった!

『アンと青春』

あらすじ

前作『和菓子のアン』に続く第二弾。
アンちゃんがデパ地下の和菓子店「みつ屋」で働き始めて八か月。
販売の仕事には慣れてきたけど、和菓子についてはまだまだ知らないことばかりだ。
でも、だからこそ学べることもたくさんある。
みつ屋の個性的な仲間に囲まれながら、つまづいたり悩んだりの成長の日々は輝きます。
今回もふんだんのあんことたっぷりの謎をご用意。
待ちに待ったシリーズ第二弾!

高校卒業後、進学も就職もせずに、なんとなくデパ地下の和菓子屋で働きだしたアンちゃんこと、梅本杏子。
ちょっとしたミステリーな展開のお仕事小説。
1作目では和菓子や接客の魅力に気がついていくアンちゃんでしたが、
今作では慣れてきたからこその悩みも・・・。

店長や正社員の乙女男子・立花さん、
バイト歴のながい桜井さんと自分を比べてしまうアンちゃんに、桜井さんが言ったのは

なんか不安なのは、みんな一緒。私も店長も、乙女も。
でも店長と乙女は社会人で、接客のプロ。
だからちょっと先をいってる。でも私たちが劣ってるわけじゃない。
追いついていないだけ。

ー『アンと青春』p129-

私も接客業が長かっただけに、「わかるわかる」と何度も首をたてにブンブンふりました。
その仕事にかけた時間や知っている知識があるというのは、
他に目を向ける余裕があるということ。

レジの使い方が分からなければ、
まず操作を覚えるので、いっぱいいっぱいですよね^^;

もちろん、それだけじゃなくて、仕事への適性というのもあります。

書店員だったら、お客さまの求めている本を
すばやく探し出すとか
レジでの接客の時の対応の柔軟さとか。

アンちゃんは接客でのとても大事なことを自然にできると
乙女な立花さんに言われていました。
私もそう思いました^^

新年度、新しいお仕事につかれる方もいらっしゃると思います。
焦らずにゆっくり進んでいってほしいなと思います。



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