【中学生おすすめ本】『きみの友だち』重松清|友だちって、何?

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ともだちって何?
小中学生のころの人間関係を見つめる小説、
『きみの友だち』を読みました。
あらすじや感想を書いていきます。

目次

あらすじ

わたしは「みんな」を信じない、だからあんたと一緒にいるー--。
足の不自由な恵美ちゃんと病気がちな由香ちゃんは、
ある事件がきっかけで、クラスの誰とも付き合わなくなった。
学校の人気者、ブンちゃんは、できる転校生、モトくんのことが何となく面白くない・・・。
優等生にひねたやつ。弱虫に八方美人。
それぞれの物語がちりばめられた、「友だち」の本当の意味をさがす連作長編。

重松清さんについて

1963年生まれ。
早稲田大学教育学部卒業。
『ビフォア・ラン』で作家デビュー。
『ビタミンF』で直木賞受賞。

代表作

『ナイフ』(坪田譲治文学賞受賞)
『エイジ』(山本周五郎賞受賞)
『ビタミンF』(直木賞2000年下半期受賞)
『十字架』(吉川英治文学賞受賞)
『ゼンメツ少年』(毎日出版文化賞受賞)

など。
他にも多数。

感想・心にのこった言葉

少しずつ主人公は変わるけど語り手は同じ。
最初「きみ」という呼び名が、誰のことなのか分かりませんでした。

最初の主人公がえみちゃんだったので、間違えて書いたのかな・・・と
何度か読み直してしまいましたが(笑)
そうではありませんでした。
(語り手が誰なのかは後々分かりますので、
最後まで読んでみてくださいね)


主人公が脇役になり。脇役が主人公になり。
姉の目線だったり、弟の目線だったりと、
ゆるやかに変わっていく連作短編でした。

短編だけど長編のような感じ。
以前読んだ瀬尾まいこさんの『あと少し、もう少し』の時と同じように、
同じ出来事が別の視点で、見える深みのある短編集になっていました。

▶『あと少し、もう少し』の感想はこちら

小学生、中学生、高校生と、その時々でほんの少し自分の人生に交わる
「友だち」という存在。
同じ時代に同じ空気を吸って、同じ場所にいる。

どんなことでもそうだけど、ずっと覚えていることもあれば
忘れていくこともありますよね。
そうやって人生は続いていくし、昔のことほど忘れていく。

人間は忘れる生き物。
そういうもんだと思います。
だけど、忘れたくないこともきっとある。

「わたしは『みんな』って嫌いだから。『みんな』が『みんな』でいるうちは、友達じゃない、絶対に」
ぽつりと言った。質問に直接答えたわけではない。唐突な一言だった。
でも、それは不思議なほどすんなりと、君の耳から胸へ染みていった。
「西村さんは、友だち、たくさん欲しい人でしょ」
きみが答える前に、恵美ちゃんは「わたしは違う」と言った。
「いなくなっても一生忘れない友だちが、一人、いればいい」

『きみの友だち』p293

もうはるか昔に学生だった私にとっては、とても懐かしい感情が呼び起こされる物語。

今、小学生や中学生の人にとっては、きっと同じような環境で息苦しさを感じながら、
毎日を過ごしている人もいるんじゃないかな。

「友だちの本当の意味をさがす連作長編」となっているけれど、
結局私は友だちって何なのかな・・・と、わからないまま読み終わりました。

そして友だちについて考えたことはもちろんだけども、
自分の気持ちがどんな風に動いていくか、というところに
とても共感できる場面が多かったなと思います。

一番こころに残った言葉は、ネタバレになってしまうので書いていません。

様々な年代におすすめですが、
小学校高学年から中学生の方にもぜひ読んでいただきたい物語でした。

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