【中学生におすすめの本】『かがみの孤城』辻村深月【小説】

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今日ご紹介するのは、辻村深月さん著『かがみの孤城』です。
様々な境遇から、不登校になっている中学生7人が、
ふしぎなお城で過ごす1年間の物語。
悩み、傷つきながらも未来をあきらめたくないあなたへ贈ります。

目次

あらすじ

学校での居場所をなくし、閉じこもっていた安西こころ。
母親が探してきたフリースクールにも行くことができず、
親の焦りや不安も感じ、どうにもならない毎日。
そんなある日、突然部屋の鏡が光り始めた。
輝く鏡をくぐり抜けた先にあったのは、城のような不思議な建物。
そこには、ちょうどこころと似た境遇の7人が集められていた――

辻村深月さんについて

1980年生まれ。山梨県笛吹市出身。
千葉大学卒業。
幼い頃から読書好き。
小学生時代から小説を書いていたそうです。
小学6年生の時に出会った
綾辻行人さんの『十角館の殺人』を読み大ファンに。
ペンネームに使われている「辻」は、
綾辻行人さんに由来しています。

代表作に
『冷たい校舎の時は止まる』(第31回メフィスト賞受賞)
『凍りのくじら』(第27回吉川英治文学新人賞受賞)
『ぼくのメジャースプーン』(第60回日本推理作家協会賞受賞)
『鍵のない夢を見る』(第147回直木賞受賞)など。

『かがみの孤城』受賞歴など

  • 2018年本屋大賞
  • 王様のブランチ ブック大賞2017
  • ダ・ヴィンチ BOOK OF THE YEAR 2017
  • 埼玉イチオシ本 2017
  • 第11回神奈川学校図書館員大賞
  • 熊本県学校図書館大賞 2017
  • 啓文堂書店文芸書大賞
  • 第6回ブクログ大賞 小説部門大賞
ゆい

中学生から大人まで、
幅広い年齢層に支持されています♪

種類もいろいろ

『かがみの孤城』は、もとの単行本だけでなく、
文庫版・コミック版・小学生から読める総ルビ版などいろいろあります。

アニメ映画公開予定!

2018年本屋大賞受賞のファンタジーミステリーである『かがみの孤城』。
2022年12月23日からアニメ映画公開予定です。

映画『かがみの孤城』公式サイト (shochiku.co.jp)

キャスト

安西こころ・・・當真あみ
リオン・・・北村匠海
フウカ・・・横溝菜帆
ウレシノ・・・梶裕貴
アキ・・・吉柳咲良
マサムネ・・・高山みなみ
スバル・・・板垣李光人
オオカミさま・・・芦田愛菜
こころの母・・・麻生久美子
喜多嶋先生・・・宮崎あおい

小説やコミックで読むのはもちろんいいのですが、
アニメだとまた違った感想を持てそうです。

オオカミさま役の芦田愛菜さんは、
『まなの本棚』という書籍の中で原作者の辻村深月さんと
対談していた折に、
『かがみの孤城』の誰かを演じるなら
オオカミさま、と言っていました。
アニメ版で実現しましたね!

感想・心に残ったことば

一人で苦しい現実と闘う、
かがみの孤城に集まった中学生7人。


お城には、
・城の開城期間は3月30日まで。
・朝9時から夕方5時まで。
夕方5時までに鏡をとおって帰宅しなければ、
狼に食べられてしまう。
・「願いの鍵」がどこかにあり、
鍵を見つけた人は一つだけ願いを叶えることができる。
・「願いの部屋」が開くと、そこで城は閉城。
全員の城に関する記憶は失われる。

と、いくつかのルールがあります。

みんな不登校・・・となんとなく分かっているけれど、
最初はお互いに詮索することもなく・・・。
それでも、1年間という期間の中で、
少しずつお互いのことを知りながら、
自分自身の気持ちも整理していきます。

人間には、さまざまな感情があり、
その感情に振り回され戸惑いながら、生きていることもあります。

だけどどんな気持ちも、きっと嘘じゃないと思う。

仲が悪くなったわけじゃないと言いながら、
自分から謝ったり、何をされたわけじゃないと言いながらも
相手に反省していることを期待したり、
ウレシノの話は、彼の混乱をそのまま表すように矛盾がいっぱいだ。
強がりもあるし、本音を言いたくないこともあるだろう。
けれど、きっと、嘘じゃない。
その瞬間瞬間に彼が感じた感情は、きっとどれもがその通りで、正しいのだ。

『かがみの孤城』p199

みんな消えるなんて。
嫌だ、とは思う。けれど咄嗟に胸に湧き起こった感覚があって、

こころは自分でも意外に思う。
ーーーそれもいいのかもしれない、と、こころは思った。
消えてしまうなら、それでも、いいのかもしれない。

『かがみの孤城』p359

消えるのは嫌だけど、消えてしまってもいい・・・という気持ち。
身動きが取れず立ち尽くしてしまっている、相反する気持ち・・・。

中学生だけじゃなく、高校生でも社会人でも、
きっとみんな少なからず持っているのかな。

人間、誰しも心の中に矛盾するような気持ちを持っている。
そんな複雑な心情が丁寧に描かれる、辻村深月さんの作品は多いです。
だから、幅広い年齢層に共感を呼び、
支持されるのだろうなと思います。

大丈夫だーーーーと思う。
私たちは、助け合える。
一緒に、戦える。

『かがみの孤城』p295

「こころちゃんが頑張ってるの、お母さんも、私も、わかってる。
闘わないで、自分がしたいことだけ考えてみて。
もう闘わなくてもいいよ」

『かがみの孤城』p323

現実の不登校という問題にも向き合いながら、
お城で過ごす日々は過ぎていきます。

「心の教室」というフリースクールで出会った、
喜多嶋先生。
「闘ってるの知ってるよ」「もう闘わなくてもいいよ」
そう言ってくれる先生は、
こころの味方になってくれます。
誰かが自分の気持ちや状況に気がついてくれてるという事実。
それは、こころにとってどんなに心強いことだったか。

すぐに状況は良くならなくても、これから先、
前に進む勇気になっていくのではないでしょうか。

後半、破られたルールに、こころが見たのは
とてもとても大事なものでした。

「私たちは、助け合える。」

この言葉の本当の意味が分かる結末には、
2つの大きな驚きと、
未来に対する希望が見えたような気がしました。

心の葛藤を感じた時、
悩みや不安を感じた時。

ぜひ読んでほしいなと思います。

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